必見:駐在のデメリットとは? 2度駐在してわかった落とし穴

2022年5月15日キャリア

私はいつも「キャリアで駐在を目指してもよいが、デメリットも考えるべき」と言っています。

駐在員になれば海外に住んで家賃も出るし給与も上がるし手当も出るからウハウハ、転職や昇進にも効果的なキャリアになる、といったようにメリットばかりを強調する記事や説明が世の中には多いです。
(私自身、夜飲んでて暇だった時に、駐在員の手取り&手当って日本勤務の年収換算で言うとどのくらいのもんなのか、というのを計算するシートを作ってしまいましたが…)

つい、駐在時の手取り年収や手当と住居情報とかを入力したら「日本で同じ生活をするのに必要な年収(日本換算年収)」を出力するシートを作ってしまった。使い道ないので共有します。手取り100万円/月で都市部の家とインター1名の補助がほぼ出ていると日本の年収3,600万円換算…https://t.co/mpDGJWoZU4pic.twitter.com/M2eA8Th1TB

— コーカス@欧州駐在員 (@kkrchuzai) May 14, 2022

しかし、いざ筆者が駐在員になってみたら、辛いこともいっぱいあり、デメリットだなと思うことも多くありました。前からわかっていたデメリットもあったけれど、駐在して初めて分かったデメリットも多くあります

この記事では、駐在すること、駐在員になることの知られざる(?)デメリットについて、2度の駐在経験を持つ私が、実体験をもとに説明します。

デメリット①:寿命が縮むリスクがある

日本の平均寿命は世界一です。
これは遺伝子的な背景もあると思いますが、食生活と医療の質によるところも大きいと言われています。

駐在で海外に行くと、国と地域にだいぶ良いりますが、やはり健康が損なわれるリスクは上がりそう、というのが私や周りの駐在員の共通見解です。

(東京海上日動のレポートより)

外務省「海外邦人援護統計」(大使館等在外公館で把握している邦人援護事案統計。赴任者の他、 旅行者等を含む)によると、1 年間に海外で死亡する邦人は、近年 500~600 人前後で推移しています。

駐在中の死亡率が日本在住時とどのくらい違うか、というのを統計的に調べたデータは見つからなかったのですが、私が駐在に行く前に色々と聞いたり、駐在先で聞いた話を総合するに、やはり若くして事故、病気で亡くなる人は多いですし、帰任後にも早く亡くなる人は多いように思います(あくまで感覚ですが)。

食生活・運動習慣

駐在中、食生活が合わない、運動不足になる、忙しい、といった理由で、急激に太る若しくは痩せる人は毎年どこかしらで聞きます。

太りも痩せもしない人は、かなりその国の生活にあっている人、というイメージがあります。
そのくらい、駐在時に太ったり痩せたりする人は多いです。

海外では、日本の健康的な食事を作ろうと思っても海外では食材の入手から難しかったりします。

また、新興国だと運転手付きの車があてがわれるのは良いが、その代わり全く歩かなくなってしまって運動不足になる、というのもよく聞きます。
中国やインドだと大気汚染も大変らしいです。すぐに体に不調が出なくても、ダメージとして蓄積している可能性はあります。

派遣元の会社も、定期的な健康診断を受けろと言ったり、食材送付制度があるところは聞きます。
しかし、そのほかに健康面でダイレクトに効果的な取り組みを聞いたことはありません。

交通事故や犯罪などのリスク

途上国駐在では、犯罪や事故に巻き込まれるリスクが高くなります。

南米で強盗にあった日本人の話はよく聞きますし、抵抗して殺されてしまったという話も聞きます。
先進国駐在でも、慣れない右側通行で事故を起こした、といった話はよく聞きます。

一般論で言っても、駐在に行くことで日本よりも事故や犯罪に巻き込まれるリスクは高いように思われます。

医療の質が低い

特に危険地手当が出るような国は、医療の質が低いことが多いです。

伝染病にかかる可能性があったり、まともな病院まで車で数時間かかるとか、まともな病院に行くには飛行機に乗って近くの国に行かないといけない、という国もあります(アフリカ駐在の人から聞きました)。

いざという時のリスクは、やっぱり日本より高いです。

デメリット②:家庭やプライベートに負荷がかかる

一度Twitterにも書いたのですが、駐在は確実に家庭/プライベートに負荷がかかります

これまでの人生のほとんどを海外で過ごしていて、その国に駐在する、というのであれば負荷は小さいかもしれないです。しかし、そうでない人がほとんどだと思います。
(たまに、中国出身の人で日本で就職して中国に駐在する人がいて流石に羨ましいです。勿論それぞれ苦労はあると思いますが…)

駐在は家族に負担をかける。
だから駐在で大事なのは、家族、家族、家族。
日本在住なら、美味しいご飯を食べたり、友達と話したり、買い物に行ったりすれば発散されるはずのストレスも、海外では溜まりがち。
赴任当初は本当に凄く喧嘩になった。別れなかったのは妻が頑張ったから。家族を大事に。

— コーカス@欧州駐在員 (@kkrchuzai) May 5, 2022 

また「先進国の駐在なら何も負荷なんてないだろう」と思っていると痛い目にあいます。
私はそう思っていて痛い目にあいました

私は若手の時に新興国駐在を経験していて、転職後の2度目の駐在では先進国に来ています。
なので、正直家族は余裕で先進国駐在を楽しめると思っていました。新興国駐在よりはるかに楽だし。

けれど、違いました。
例え先進国への駐在でも、家族への負担は確実に増します。

慣れない国で食材、日用品など諸々のものを買うこととか、配偶者のキャリアの断絶とか、子供の教育とか。
この辺りはまた別記事でまとめたいと思いますが、どんな駐在であっても家族に負荷がかかるのは動かし難い事実です

「家族の負担と、自分のキャリアUP/年収UP/手当を本当に天秤にかけてよいのか」は絶対に考えた方が良いデメリットです。

デメリット③:メンタルを崩す可能性が高い

海外駐在中は、本社からの指示が厳しい中、現地社員のマネージメントに苦労する、現地顧客との関係構築に苦労する、といった精神的に追い込まれるケースが本当に多いです。

本社のマネジメントも、遠くてついケアが甘くなり、慢性的な残業状態を放置されたり、過度なプレッシャーをかけられてしまったりということがよくあります。

駐在中のストレス5選については別記事でもまとめています。

そして、そうしたストレスを発散できる友人を作るのも、ゼロから始めないといけません。
その結果として、精神を病んでしまう人もちらほら聞きます

実際に統計上も多いようで、私の知っている会社では駐在員向けの産業医面談やメンタルヘルスチェックなどを導入して手厚くケアしているようです。
(ちなみに、国ごとで統計があるらしく、お酒が飲めない中東は鬱になる確率が高いと聞いたことがあります)


一方、こうしたケアが十分かというと、正直そうではないと思います。
人材コンサル会社のマーサーのレポートでも、まだまだ駐在員へのケアは発展途上、というトーンが目立ちます。

メンタルヘルス不調サインのキャッチ:メンタルヘルスの不調は、日本本社もストレスチェック等の実施により早期発見に努められていると思料するが、すべての不調のサインをキャッチするのは難しいのが現状であろう。また、多くの国に赴任者を派遣している場合、各国の赴任者や家族の個別の状況を詳細に把握して対応するというのは現実的ではない。

 Withコロナにおける海外赴任者の健康管理・メンタルヘルス

駐在は、手当その他が追加で貰えるが、激務・ストレスでメンタルを崩して帰国、といったリスクもある仕事だと思った方が良いと思います。

それでも、駐在は挑戦しがいのあるキャリア!

ちょっと暗い話ばかりになりましたが、私はそれでも、駐在は挑戦しがいのあるキャリアだと思っています。

異文化の中で海外のパートナーと仕事をしていく、そこにお金だけでは測れない楽しさがあり、私はそちらの方に魅力を感じています。

是非、自分なりにメリット、デメリットを考えて、挑戦したいと思ったら駐在を目指してみてください!

駐在員に選ばれる確率を上げるメソッドや今後求められるであろう駐在員のミッションについては、別記事でまとめていますのでご覧いただけると嬉しいです!

それでは、Have a nice day!

キャリア

Posted by kkrchuzai