海外駐在・赴任中の資産運用のハードルと対処方法まとめ
海外駐在・赴任中に資産運用をするには、いくつかのハードルがあります。
正直、日本でやるよりかは簡単ではありません。
けれど、乗り越えられる場合も多いと筆者は確信しています。
本記事では、そんな海外駐在中の資産運用におけるハードル、及びその乗り越え方を整理します。
これから海外赴任、駐在をする人や、いま駐在中だけど資産運用を始めてみたいが何から調べていいかわからないという人の参考になれば幸いです!
尚、その他の海外駐在中の資産運用のコツについては、以下の記事をご覧ください。
結論:滞在国の規制以外は、乗り越えられる可能性あり!
海外在住中の資産運用のハードルは、①滞在国の規制、②会社の手間、③個人の手間、に分けられます。
このうち、①の滞在国の規制以外は、乗り越えられることが多いです。
別記事でも少し触れましたが、海外駐在中に資産運用すると、駐在ボーナス期間中に貯まる資産を複利で増やしていくことができ、更に現地税制や経済情勢にも詳しくなるなど、様々な良い効果があります。
そうしたメリットを享受したいと思ったら、いくつかのハードルを乗り越えるのも意味があるかと思います。
早速、どのようなハードルがあって、どういう対策があるかを見ていきましょう。
ハードル①滞在国の規制
滞在国によっては、外国人の証券口座開設や、自由に現地通貨を外国送金するのが難しい国があります。
こういう場合は、正直な話、資産運用はかなり難しくなります。
色々と探せば上手く資産運用ができる場合もありますが、税務申告が面倒になったり、資金移動でつまづくと資金を取り戻すのに時間がかかったりすることもあるようです。
筆者個人の見解としては、こういう場合は仕方なく、帰国後にすぐ資産運用を始めていけるよう、海外駐在中は資産運用をお休みして、勉強と準備を続けておくのが良いかなと思います。
例えば中国では、人民元の海外への持ち出しが厳しく規制されているので、現地証券会社で口座を開いて運用しても、最終的に日本に帰った時に日本の口座などに送金するのが難しい場合があるようです。
ただ、こうした現地の規制が厳しい場合でも、給与をどこの通貨・口座で貰っているか、海外送金が容易かどうか、によっては対処が可能なこともあります。
例えば、海外に送金できるのであれば、日本居住者の家族に家族の財産として運用してもらうとか、非居住者でも利用できる証券会社を探すとか積立投資できるファンドなど(ヘッジファンドなど)に投資するなどがあります。
(但し、後者は一般的に手数料も高く、質も悪い業者もいるようなので、かなりスキルが高い人向けだと思います)
滞在国での個別の事例は、インターネットでの調査と、ヒアリングが良いと思います。
インターネット調査は、「〇〇(国名) 投資 pdf」「〇〇(国名) 株式投資 可能」などと検索すると、関連する専門家のレポートや、実際にチャレンジしてみた人のブログが多く出てきます。
特にPDF検索は、大手会計事務所のレポートが出てきたりしますので有用です。
他にも、必要に応じてほかの駐在員や現地の日本人向け税理士などに聞いてみると良いです。
専門家も、駐在員の資産運用が(一般的に)可能か不可能かくらいは、料金を払わなくてもある程度教えてくれることが多いと思います!専門家のサービスは”その後”が本番なので!
- 滞在国の規制で投資や海外送金が難しい場合は、海外在住中の資産運用はやはり難しい
- 海外送金が可能で日本に家族が残る場合なら、家族の財産として運用するなどはあり得る
- 非居住者でも投資できる証券会社やファンドなどには注意
ハードル②会社の手間
勤務先が駐在中の資産運用にネガティブなこともあります。
これは、駐在員の所得税の支払いを会社が肩代わりするところが多いのと関係しています。こうした会社では、駐在員の受け取る給与は社内の基準額で決まっており、それに対応する税金は会社が支払います。更に、会社が申告のための税理士費用を出すところもあります。
こうした場合に海外駐在員が資産運用すると、税務申告手続きが面倒になったり、費用が増えたりしてしまいます。それが嫌な会社もたまにあります。
ただ、このハードルは乗り越えられるものだと筆者は思っています。
税務申告の手続きが増えるなどのケースは、会社との交渉次第だと言えるからです。
筆者自身、①滞在国での投資に関する税金、②滞在国での申告に関する税理士などの費用、の2点を自分で負担することを前提に駐在中の資産運用をしています。
資産運用は個人の自由であり、会社がむやみやたらに規制すべきものではないんですよね。
もしも会社が駐在員の資産運用にネガティブでも、従業員の正当な権利として、自己負担・自己責任でできる範囲を議論してみると良いと思います。
資産運用をできない期間、デメリットをこうむるのは自分なのですから。
尚、慣れない滞在国での税務申告は面倒なので、自己責任での投資所得の申告を現地税理士に頼みたいという人もいるかもしれません。
筆者も頼んでみましたが、投資に関わる税務申告の税理士費用は、実はそんなに高くない、というのが筆者の経験でした。(国などに拠るかと思いますが)
駐在員の”所得税”の計算は、控除なども多く計算が面倒なので、税理士費用は高額になりがちです。一方、投資に関する申告はシンプルなことが多く、書類がきちんとしていれば税理士費用も高くなりにくいなと思います。(筆者の経験上)
多くの滞在国では、日本人の現地税理士の方がいらっしゃいます。
インターネットで検索すれば出てくるので、先ずは相談してみるのが良いかなと思います。
もちろん、現地の申告手続きが比較的簡単であったり、一度税理士にお任せしてみてやり方がわかったら、自分で申告手続きをするのも勉強になるし安上がりです。
尚、欧州ではWebサービスで簡単に税務申告が出来るものも増えてきています。そうしたサービスを使うのも良いかなと思います。
- 会社が資産運用にネガティブでも、自己負担・自己責任をベースに交渉する方法も
- 投資所得の申告は、複雑でなければ自分で出来ることも
- 現地の税理士を起用しても、投資の税務申告に関する費用は書類がそろっていれば意外と高くないことも
ハードル③自分の手間、面倒さなど
このハードルは一番乗り越えやすいですね。笑
ですが、一番のハードルとも言えます。
ただでさえ慣れない海外生活で、3-5年後には帰国するのに、現地の証券口座を開いたり、何に投資するか調べて決めたり、実際に投資をしたりして、税務申告などもしていくのは、やっぱり面倒です。
しかし、近年は多くのオンライン証券・オンライン投資プラットフォームがサービスを拡大しており、とても簡単に証券口座を開いたり、積立投資を設定できるようになってきました。
本ブログでも、既にいくつか主に欧州地域で展開しているオンライン投資プラットフォーム、オンライン証券について紹介しています。知識を付ければ、実はたいして面倒でもなんでもなかったなと思えるかと(私がそうでした)。
何れも口座開設など非常に簡単なので、是非ご覧になってください!
また、それに加えて、昨今のようにインフレ(物価上昇)になっている状況では、投資しないで寝かせている現金はどんどん価値を失っていきます(=同じ額面の現金で買えるものが減っていきます)。
そんな中、資産運用をすれば、中長期で資産価値の防衛を目指すことができます。
面倒だからと資産運用を全くしないと、駐在ボーナスでたまった現金の価値が目減りする可能性もあるのです。
そうした点を考えると、やはり面倒だから、手間だからで先送りしない方がいいテーマなのではと思います。
最後に、筆者の個人的意見ですが、以下のやり方であれば、出来るだけ簡単にできるなと思っています。
- オンライン証券など口座開設が簡単なところで口座開設
- 投資は積立投資で、投資銘柄はリスクの比較的高くない全世界株式などで、配当再投資*のもの
- 原則的に売却は帰任時までしない* (もちろん日本で持っている株式を売ったりしない)
- 税務申告は出来る限り自分でやる、若しくは初回だけ税理士に任せて2回目以降自分でやる
- 帰任時は売却⇒日本に送金⇒日本で資産運用を続ける (外貨のまま、若しくは円に両替)
*売却時まで余計な税務申告が必要なくなるので
終わりに
筆者は、海外駐在・赴任中でも資産運用を出来る限り継続するのが良いと思っています。
この記事で書いたように、海外駐在・赴任中の資産運用にはもちろんハードルはあります。手間もかかります。しかし、資産運用せずに現金・預金の価値が目減りしたり、一般的に3₋5年と決して短くない駐在期間(最近は各社で長期化傾向にあるようにも聞いています)において、資産運用をしない機会損失を考えると、やはり駐在中の資産運用は考えた方が良いテーマだと思うのです。
ここ数年で、オンライン証券などの多くのサービスが更に使いやすくなっています。税務申告をサポートするアプリすら欧米では出てきています。
海外駐在員、在住者が資産運用をするハードルはどんどん下がっている、というのが現状だと思います。
このブログでは引き続き、色々と海外駐在員・在住者の資産運用に役立つサービスの紹介や、整理・考え方を発信していければと思っております。皆さんの資産運用を考える一助になれば幸いです!
それでは、Have a nice day!
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